薬学部、薬剤師
国家試験の現状について

合格率が低い背景としては、大きく2つの理由があります。
次に薬学部の留年率を見てみると、図2で示すように毎年4000人前後の留年生が出ていることが分かります。薬学部全体の入学者数が毎年12000人前後であることから、毎年の留年率は30%以上と非常に高い数値です。厚生労働省の調査で、薬学部に入学して留年せず、ストレートで国家試験合格まで進む学生の割合は60%を切っています(平成30年実施分の国家試験をベースに調査)。
この背景には、先述の薬学生の学力低下、国家試験の難化に伴う大学定期試験の難化があると考えられます。
薬剤師に求められる能力は年々増していくため、国家試験や定期試験が易しくなることは考えにくく、薬学部の入学者のレベルもしばらくは今の状況が続くと考えられます。そのため、低学力の学生が国家試験に合格レベルまで到達できるよう、スロープとなるカリキュラムや学習システムの構築が急務です。そのような背景もあり、大学のカリキュラムとは別に予備校やオンライン個別指導のニーズが高まってきています。
※薬剤師国家試験のあり方に関する基本方針を一読すると、国から求められている薬剤師像と薬剤師国家試験の位置づけがよくわかると思います。
